タイにいると、日本で生活しているおそらく何倍も、理不尽なことが起こることがあります。
良く言えばおおらかな人たちであり、悪く言うといい加減なことも多かったり。
そんなタイの人たちと接する中で浮かび上がってきたキーワード、「許す力」と「受け入れる心」についてご紹介します。
タイの人たちの気質
何度かこちらのブログでも書いてますが、タイの人たちの気質はとにかく「マイペンライ」という何とかなるさ!気質です。
何が起こっても、そのまま受け入れる方が大半だったりします。
特に最初不思議だったのが、レストランや屋台で自分が頼んだものと別のものが来ても、そのまま食べる方が本当に多いのです。
一番最初にそのことに気づいたのが、チェンマイに住み始めてすぐの頃に友人と行ったレストランでの出来事でした。
タイ人なのにもかかわらず、彼女はニンニクが嫌いとのことで「ニンニク抜きでお願いします」とオーダーしていました。
しかしながら、出てきた料理にはニンニクがたっぷりと(ー_ー;)
タイでは本当によくあることです。
彼女は「仕方ないね。」と一粒残らずニンニクを避けて食べていました。
お料理にニンニクの味がついてしまってるのにもかかわらずです。
そうかと思えば、隣の席で日本人のおばさまが、「コーヒーは食後って言ったじゃない!」と、食前に出されたコーヒーに対してご立腹でした。
タイ人ウエイトレスは、言われるままにコーヒーを下げてまた食後に出そうとそのまま冷凍庫の中にコーヒーを入れたのです。
ミルクがホイップされたコーヒーをです。
それを見た日本人のおばさまは、さらにご立腹で、「ちょっと!食後にちゃんと作り直してよ!」みたいなことを言われてました。
タイ人感覚で見ると、これってものすごく不思議な光景なのです。
ウエイトレスさんも、ポカンとしてました。
その頃は、まだタイでの生活にそこまで慣れていなかった頃なので、なんとなく不思議な気持ちでそんな光景を見ていましたが、タイでの生活が長くなるとタイの人たちはみんな素晴らしいほど「許す心」を持っていることに気づいたのです。
上のコーヒーの話は、どちらが良くてどちらが悪いというわけではありません。
対タイ人だけのお店であればそれでいいかもしれませんが、日本人や欧米人もよく利用するような場所でやっている食堂やレストランとなると、それなりのサービス・質が求められることもあります。
もし、そのお店のオーナーや従業員が「ここはタイなんだから…」と考えてたら、いつまでも変わらないし、そうなると旅行者は利用しなくなり、最悪閉店。
ということにもなりません。
旅行者が細かく注意することで、その店のサービスの質が上がり、その結果人気店になるかもしれません。
別の料理が出されても食べるタイの人たち
前述のように、ニンニク抜きで頼んでもニンニクありで出てきた位の出来事は序の口です。
よく、頼んだものとは別の料理が出てきたり、注文を忘れられていたり。
様々です。
主人の場合、パクチーが大の苦手で「パクチー抜き」でいつも料理を注文しますが、パクチーが入って出てくることなんてよくあることです。
どうしても食べられないのでパクチーが入って出てきたものを突き返して、「パクチー抜きにして」と言っても、料理に浮かんだパクチーを箸で取る位で、作り直しをしてくれるお店はほぼありません。
※高級レストランは別です
そのまま「間違えちゃったのか、仕方ないね。」と受け入れて食べるのがタイ流なのです。
タイの人たちの許す心
タイで暮らす中、「許す心」と「受け入れる心」を持つことができれば本当に心から幸せな人生を送ることができるのかもしれないということを学ばせていただきました。
日本でも、そんな本が出版されていたり。
許す心を持つことの重要さは伝えられています。
しかしながら、タイではそれ以上にほとんどの方々が許す心を持って生活しているのです。
タイの国民の98パーセント以上が仏教徒ということもあるでしょう。
人は、生きている中でいつの間にやら様々な罪を背負ってしまっているものです。
もちろん、大きな法で裁かれるような罪なんて犯してないという方が大半かもしれませんが、小さな罪は少なくとも何かしら犯してしまっているものです。
そして、多くの場合他人の罪ほど人は許せないものなのです。
そんな罪を許す、おおらかな心を持っているのがタイの方々なのです。
それと同時に、他人の罪のみならず自分自身も許す心を持っているのがタイの人たちなのです。
何か問題が起きた時に、自分自身の内部に問題があるのではないかと自分を省みるのはとても良いことです。
が!自分自身を許せずにがんじがらめになってしまっている方が多いのではないでしょうか?
また、許す心を持つのと同時に「受け入れる心」をタイの方々は持っています。
何があっても、それが結果なんだとすんなりと受け入れることができるのです。
「仕方がないな」という諦めの受け入れではなく「あるがままの状態を受け入れる」のがタイの方々なのです。
諦めからの受け入れではないので、嫌な気持ちになることもありません。
それが自然に身についているため、様々な場面で幸せを感じることができるのです。
小さなことに一喜一憂せずに、「なるようになるんだ」という気持ちで過ごしていくことで、人は幸せを感じることができるんだということを常に学ばせていただいています。
タイという国は、微笑みの国などと言う言われ方をしますが、なんでいつも彼らは笑顔なのか。なんとなく彼らとともに生活することで理解できるようになりました。
権利を主張するのは当たり前だ!という気持ちでタイにいると、本当に疲れてしまいます。
どんな方向に行ったとしても、なんとかなってしまうのがタイという国であり、人生です。
実際、タイの人たちは本当に親切なので、最後まで色々と対応してくれます。
日本のようなきめ細かい対応は一切ありませんが、それでもおおざっぱでも何とかしてくれるのがタイ流なのです。
困っていれば、知らない人でも「May I help you?(何か私にできることありますか?)」と常に気にかけてくれます。
それだけ、精神的に余裕があるということでしょう。
文句を言ったところで何も解決しませんし、人間関係が悪化するだけなので、受け入れることを覚えるととても生きやすくなるということを覚えたタイ、チェンマイ暮らし1年4ヶ月後の戯言でした。