「ピラミッドの前にはケンタッキーがあるんだよ」
いつだっただろうか
そんな話を聞き、憧れだったピラミッドが私の中で少しだけ、格が落ちたことがあった
それから数年の年月が経過
遂にピラミッドと対面できる時がきた
私の中で、目の前にケンタッキーがあろうとなかろうと、旅を続けるにつれてどうでもよくなっていた
周りに何があろうと関係ない
美しいものは美しいし、
印象に残らないものは残らない
偉人の作った遺産は、私個人的にはどこもかしこも素晴らしかった
残念だ…と思うものはほとんどなかった
エジプトのカイロにあるギザのピラミッドへは、電車で行くことにした
電車でピラミッドへ行けてしまうという不思議
電車を乗り継ぎ、ピラミッドのあるギザの駅に降り立つと
「ピラミッド案内するよ」とおかしな英語を話す輩たちがたくさん寄ってきたのだった
すべて断り、ピラミッドへ向かって歩く
普通の住宅街のような、そんな道を歩くこと数分
目の前に、あの教科書の中で見たピラミッドが現れる
これがピラミッドか…
ピラミッドは、外からみても、中から見ても本当に美しかった
異国にいるんだ
という気分をものすごく味わえる、そんな場所でもあった
ここまでたどり着くのに、何か国も渡り歩いてきたけれども
ピラミッドはやはり特別な存在だった
ずっと来てみたかった場所だった
いつか観た「風立ちぬ」を思いだす
カプローニ伯爵が次郎に問う
「ピラミッドのある世界とない世界、どちらが良い?」
ピラミッドは、何にもの死傷者を出しながら作られたもの
歴史の教科書ではそう習ったはず
ピラミッドのない世界=何の発展も無い世界
ピラミッドは、希望の象徴だ
だから私はピラミッドが好きなのかもしれない
いつか必ずまた行きたい場所
ピラミッドは、2日連続通ってしまった、そんな場所だった
1日目は周りから
二日目は中から
充分にピラミッドを堪能することが出来た
そしてスフィンクスも…
ケンタッキーからのピラミッドも