フランスのマントンから、イタリアへはかなり近い距離にあった
だけれども
一番の近道は、山超えだった
山を越えればすぐその先はイタリアだったのに、山は登るにつれてだんだんと吹雪いてきた
さすがに、知らない国の知らない山道は危険だ
チェーンも無ければ、スタッドレスを履いている訳でも無かった
段々と雪深くなってきたので、諦めて下山する事にした
そして、ナビが指した一番の近道の山越えをやめ、ぐるりと周ってイタリアに入国する事にした
そうは言っても、イタリアはすぐそこだった
広い広いフランスを車で移動してきたので、イタリアまでの移動はなんの苦にもならなかった
ただ、寒かったことを除いては…
イタリアへ到着する
イタリアに入国して早々、恐喝に会う
高速道路をいつものように走ってると、何やら車にぶつかった音がした
隣を走ってた車が、「脇に止まれ!!!!」というようなジェスチャーをする
仕方が無いので、一先ず停まる事にした
広いヨーロッパの道路で、車がぶつかる訳も無い
外に出て、話に行ってみると、どうやら車のドアが開いて、恐喝男の車にぶつかったというような事を言ってる
どこからどう見ても、イタリア人とは思えない出で立ちの男だった
そして、「金を出せ」と言う
そんなやり取りを車の中で見ていた私は、とっさに財布の中に入ってたクレジットカードやら現金をすべてだし、車の座席の下に隠す
何か所かに分けて隠した
そして、名案を思いついた
財布の中に、VISAギフトカードが一枚入っていたのだった
1000円分のVISAギフトカードを恐喝男に渡す
これは日本円で1000ユーロみたいなものだ。と伝えて
吉と出るか、凶と出るか…
私たちはツイテルので、もちろん吉と出た
財布の中に入れておいた少しの現金(ユーロ)と、VISAギフトカードを恐喝男は持って行き、ルンルンで去っていった
これを換金しろ!と言って渡したVISAギフトカードは、換金なんて出来る訳もないのに
恐喝男に勝利した、そんなイタリア
たまにはこんな事もあるけれども、とっさの判断は旅をする上で本当に必要なことだと思う
もちろん、これがアフリカのバスの中だったら、財布をすべてそのまま差出す勇気も必要だ
お金は後でなんとでもなる
だけど、命は何ともならないものだから